論文の技法 (講談社学術文庫)
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商品カテゴリ: | 一般教養,雑学,実用知識,学習
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セールスランク: | 314615 位
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参考価格: | ¥ 263 (消費税込)
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内容は○、翻訳は×
内容は非常に興味深い。単なるマニュアル的な論文の書き方の本ではなく、書き手の心理や研究者の世界に関する社会学的な考察も含まれており、読んでいて面白い。
例えば、学生が論文を執筆するときに、ずいぶんと畏まった非日常的な文章を書いてしまう理由について、学生は研究者社会の一員として認められる証しとして非日常的な言語を使いたいのであるという社会心理的な説明がなされており、これには納得したものである。
問題は翻訳の文体である。他のレビューにも「学者に翻訳をさせるのはやめてはどうか」と書かれているが、非常に読みにくい文章になっている。機械翻訳的な文体であると思う。これが障害となって最後まで読み通せない人は多いのではなかろうか。
内容の良さにもかかわらず、翻訳に難があるため、星二つとした。
文書作成法であるとともに、書くという考える行為を自分のものとする課題を扱う
訳者は、あとがきで読める日本語を書いてあるのに、本文のハワード・ベッカーの文章は、日本の文字を印刷してあるだけ。読者は一度「日本語」に変換してから読み直す必要がある。意味の取りにくい長文に出くわし行きつ戻りつ、『新訳』が出ないものか、と。
原著は、1986年発刊。アメリカでも普及初期あったようだが、第九章でワープロと利用者の逡巡について触れている。したがって本書は、手書き原稿とタイプライターによる文書作成の時代における、論文作成上の諸問題の解決に目が向けられている。原著にはない小見出しを訳者が目次に入れてある。あらましの見当の付く使える目次になっている。
佐藤郁哉『実践フィールドワーク入門』に本書の紹介があり、「学術論文の内容や文体が、いかに学界や大学院教育課程の構成という社会組織の要因によって規定されているか」をも明らかにしようとしているとの解説があった。もちろん、論文を書くに当たって著者の経験を基にした、書いたものを「ドアの外に出す」ことの意義や、書くことは組織に関係する行為であること、書くことの不安からの開放についてなど、われわれが問題解決への取り組みを始める仕方というものについてのアイディアを提示している。「水に入った後でなければ、泳ぎ始めることなどできない」(p.251)。
Conclusionなのでしょうが、他人はあなたの問題を解決できないこと、あなたがそれを取り除かなければならないこと、コツを知ったからといって読んだだけではあなたのものではないこと等々の説法がある。この世界も、うまい話はないってことだ。先行研究を自分の解釈であらたに組み立てることを通して(p.269?)、新たな発見を、自分の流儀で表現できるようになりたいものよ。
高価な文庫本。人名・事項索引あり。ひもなし。
論文が書けなくなりそうな時に
多様な論文作成ガイドブックの中でも、この本は、主に文系の学生に論文執筆の心構えのようなものを教えてくれます。私の場合、この本を読んだのは、論文を毎週指導教官に見せてはダメ出しを繰り返される日々にやや嫌気がさし、書き進める自信が無くなってきた時期でした。前半部を読み進めていくと、「草稿」本来の意味がわかり、またアメリカの学生たちも似たような経験をしていることもわかり、気が楽になりました。逐語訳のような文体なので、所々読みにくい所はありましたが、論旨がほぼ一貫しているので、日本語になってもエッセンスは十分伝わってくると思います。論文を書く元気が無くなってきた時に背中を押してくれる一冊です。
学者に翻訳をさせるのはやめてはどうか
目次に入る前の「はじめに」を読み通せず挫折した。本代を無駄にすまいと食らいついてはみたが、とにかく日本語訳が稚拙。「そのことを知らなかったために、他の人が、また、この分野の文献中でなされた議論によってすでに生み出されてきたアイディアや手法と同じものを、私は自分で発見してしまうことになってしまいました。」一読して理解できまい。多くの文がこんな風で、読み返して解釈するのに頭が疲れるのだ。感覚的な統計で7割くらいの文が「〜のです。」で終わる無神経さにも、いらいらする。訳の部分だけでなく、訳者あとがきを読んでもだいたいこんな感じだから、佐野敏行氏はこういう書き方が好きなのだろうが、読むほうはたまらない。たぶん原文はもっと読みやすいのだろうと、想像する。かなり忍耐力のある人以外にはこの本はお薦めできない。また、この訳書をすらすら読みとおせる人がいたら、ぜひ秘訣を教えてもらいたい。
論文で迷った時に。
論文を書く時にやる気となによりも書き始める勇気をこの本は与えてくれる。書き始めないといけないとわかっていながらも筆が進まない。この本はその原因に気づかせてくれる。論文の「てにをは」については他の本の方が参考になる。内容は主に大学院生向けに書かれているのだけれども、学部生も読んで楽しめると思う。論文を「高級な」ものと考えている人がこの本を読むとそんなことはパッとはじけてしまうだろう。だからなかなか書き進められない人には参考になる。しかし注意しないといけないはこの本が「論文を書く」ということについてかなり楽観的に書いている点である。なによりも先に論文の「テーマ」は自分で決めておかなければならないことはいうまでもないけれども・・・。すでに行き詰まっている人やこれから取りかかろうとする人にはお勧めしたい一冊である。
講談社
アウトサイダーズ―ラベリング理論とはなにか 質的データ分析法―原理・方法・実践 社会科学系大学院生のための研究の進め方―修士・博士論文を書くまえに 学術論文の技法 論文作法―調査・研究・執筆の技術と手順 (教養諸学シリーズ)
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