写真で読む 僕の見た「大日本帝国」
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ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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専門家には見えないもの
西牟田靖の作家としての肝は「等身大」の目線だ。
70年生まれという世代の、「戦争」についての距離感の等身大。
旅先で出会うあらゆる事象を曇りなく見つめることができる感覚。
ゆえにその右往左往する著者の姿すらも、
同じ目線で彼の「旅」を追体験する際の重要なファクターとなる。
確かに知識という面では物足りない部分もある。だが、
歴史の専門家ではないからこそ見えてくるものが、
間違いなく、この本にはあふれているのだ。
西牟田氏の趣味のアルバム
著者がニュートラルというよりイノセントという意見は全く賛同。左右の偏りがないわけではなく、知っている知識だけで左右に思いっきり振れまくるのだ。結果平等になる。
写真は貴重なものが多い。ただ、やはり歴史の専門家が撮ったものではないだけにピント外れなものが多い。満洲だけをとってみても西澤泰彦の書籍との違いを見て欲しい。本文はベストセラーになった前著の焼きなおしだし、どういうコンセプトで掲載写真を選んでいるのかがどうもわからない。位置関係を記したものも多い(台湾の神社など)が、逆に、位置関係を記していない上にアップの写真だけでなにがどこにあるのかさっぱりわからないといった箇所もある。
「写真で読む」なんて難しい題ではなく『僕の「大日本帝国」アルバム』程度のタイトルの方がよかったのではないだろうか。これではあたかも西牟田氏の趣味の写真帳であって、歴史書の資料とするにはあまりに貧相である。
足で訪ねた「大日本帝国」の“夢”のあと。
4年の歳月を費やして、海外各地の戦前・戦中に建てられた神社跡を巡るルポルタージュ。
神社に限らず、北のサハリン、満洲などは比較的建造物が残っているが、
激戦地が多かったためか南方には偲ぶべき遺構は少ない。
北方に残る行政などの建物は、実用価値があるから残されるのも分かるが、
神社などは、まさしく“日帝”の遺物。
略奪にあったり破壊されたりする中で、しかし、無事に残ったものもあるという。
その地域の状況や、日本人と現地人との関係にも拠るのだろうが、戦跡巡り
とは違う宗教観や生活感が感じられて興味深い。
その方向性でもう少し深く抉る視点があると、この本に一本(ノンフィク
ションに不可欠な)スジが通ったのにと思う。
さらに、「何かわからない文字‥」「扉の裏側には家紋のような紋様‥」
などのように、分からないものを分からないままにしている姿勢も、気になる。
前者は写真がないので私も分からないが、後者は明らかに皇室の桐の紋だ。
ちょっと調べれば分かることなのに、と思う。
自分の見たものにあまりに重きを置きすぎて、誤解したり、誤った観念に
とらわれて「未来を構築」(前書きより)することは、あまりに危うい。
そういう意味で、著者はニュートラルというより、ナイーヴで、ある意味イノセントだ。
しかしそれでも、この本が旧領や旧占領地への旅はもちろん写真の整理も含め、
大変な労作ではある。
偏りのないまっとうな歴史記述と「大日本帝国」のリアル
「この本の面白いところは、右でも左でも思想の偏った人が読むと反対側に偏って見えることのようです(笑)。」
まさにこの本もそういう様相を呈しているようです。
右の人が真ん中を見ると左寄りに見えますし、
左の人が真ん中を見ると右寄りに見える、というわけですね。
単純ですが、真理がある気がします。
著者が意識して客観的・中立的な歴史叙述、
読みやすくてわかりやすい歴史叙述に心を砕いていることは、明らかです。
でもこの本の醍醐味は、そういう(従来の教科書にはありえない!)
わかりやすくて読みやすい歴史叙述にあるわけではなくって、
あくまでも著者が自分自身の目で見て感じた「大日本帝国」の痕跡、
現地で出会ったそこに生きる人々の描写にあります。
この本を読まなければ一生知ることはなかったと思われる
樺太、台湾、旧満州、南北朝鮮、南洋群島のリアルを伝えてくれます。
押し付けがましいメッセージはなく、
そこから何を感じるかは、読者に委ねられていますが、
あとがきの最後の一行は、今を生きる日本人への問題提起としてとても重いと思いました。
教科書じゃないんだから
本文のところどころに、「淡々と」というか、「シレッ」というか、教科書のように無機質な歴史解説記述がある。たぶん、1970年生まれの著者は、それより若い読者が「歴史を知らない。教わってない」ということを前提に、ご親切に書いてくれたようだが、これがせつない。後ろに参考文献がいっぱい掲載してあるけれど、監修者を立てたほうがいいかも。歴史に対する想像力と、歴史的事実を整理する力が足りない。
たとえば「731部隊」のくだり。アレコレ歴史的説明をした後、《細菌兵器、化学兵器とはなんだろうか》と設問し、一般的な解説をした後、こう書くのだ。《そうした兵器は核兵器のような高度な技術や費用を要せずに作ることができるので、「貧者の核兵器」として恐れられている》
いったい、いつの時点の話だ。「金持ちの米国にケンカを売って、広島長崎に核兵器を落とされて負けた貧者日本」とでも思っているのだろうか。731部隊の活動時、核兵器がまだ知られていないのです。
ついで、「侵華日軍第731部隊罪証陳列館」(博物館)の開館が2001年であることに対する疑問(あるいは解説)がない、という人が著者であるとも指摘しておく。
情報センター出版局
僕の見た「大日本帝国」 誰も国境を知らない―揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅 あったかもしれない日本―幻の都市建築史 昭和史の地図―昭和の始まりから太平洋戦争、高度成長時代まで46テーマ収録 (Seibido mook) GHQ焚書図書開封
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